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 事例:翻訳ボランティア | 雲雀丘学園中学校・高等学校

グローバル教育の一環として翻訳ボランティアにご参加頂いている 雲雀丘学園さま のお取り組みを、グローバル探究部 瀧元美菜子先生にうかがいました。

雲雀丘学園 翻訳ボランティアのみなさん
雲雀丘学園 翻訳ボランティアのみなさん

◆ 瀧元先生、本日はよろしくお願いいたします。まずは雲雀丘学園の特色や校風について、ご紹介をお願いいたします。

雲雀丘学園は兵庫県宝塚市の私立中高一貫校で、今年創立71年を迎えました。創立以来、「やってみなはれ」というチャレンジ精神を教育理念としています。グローバル教育と ICT 教育を強化するとともに、知的好奇心を深くつきつめる探究型学習を充実させることで、グローバル時代を逞しく生きる力を備えた「自立型人間」を育てることを目指しています。

素直で優しい生徒が多く、緑豊かな校地で、ゆっくりと落ち着いて学校生活を送ることができていると思います。また、チャレンジ精神を持ち、授業外で主体的に学ぶ「探究ゼミ」「探究プロジェクト」に参加する生徒も多いです。これらの探究学習では、教科・学年・学校の枠を越えて、生徒が仲間や先生とともに学んでいます。

◆ 普段行われている英語活動やグローバル教育などについてお話しいただけますか?

普段の英語授業では、基礎となる知識・技能を高めるとともに、ペアやグループでのロールプレイ、会話、ディスカッション、ディベートなどを通して、英語でのコミュニケーション力を身につけることを目標としています。また、英語と英語以外の教科の内容を同時に学ぶ CLIL 型学習にも取り組んでいます。CLIL 学習では、SDGs をはじめとして、身近な課題やグローバルな課題に目を向けられるような授業を、一から設計し実践しています。

授業以外では、生徒の多様なニーズに応えられるように、さまざまなグローバルプログラムがあります。たとえば海外研修制度をとっても、参加を希望する高校生は自らの興味や目標に合わせて、オーストラリア、アイルランド、アメリカのボストンから研修先を選択することが可能です。また、学内でも即興型英語ディベートやエンパワーメントプログラムといった、英語でのコミュニケーション力や論理的思考力、リーダーシップを育むプログラムも行われています。

しかし、本校のグローバル教育の主眼は英語力の伸長ではありません。多様な価値観を理解し、社会課題解決のために、さまざまな人と協働しながら、自ら考え行動することができる人間へと成長することを願って行われているものです。

グローバル社会で逞しく生きる「自立型人間」の育成を目指した教育の両輪を担っているのが、「探究型学習」「グローバル教育」と言えると思います。

ボランティア募集の案内に「これだ」と直感

◆ Asuka Academy の翻訳ボランティアをお知りになったきっかけは?

Asuka Academy の翻訳ボランティアを知ったのは、2020年春の休校期間中です。例年、夏期に行われていた海外研修は全て中止が決定し、コロナ禍で登校もままならない状況下で、どのようにグローバル教育を継続できるかを模索している最中のことでした。世界でグローバル化に逆行するような閉鎖的な流れがある時にこそ、国境を越えた活動をさせたいと考え、"Action Beyond Borders" を合言葉に新しいプログラムを作ろうとしていました。

たまたま訪れた Asuka Academy のホームページに、ボランティア募集の案内を見つけ、「これだ」と直感的に思いました。休校期間も予想以上に長いものとなり、生徒同士の関わりはもとより、生徒が社会や海外と繋がる機会は希薄になってしまっていたので、「学んだ知識を生かしたい」「人や社会のために役立つことをしたい」と考える生徒はきっと興味をもって参加すると考えました。

募集をかけたところ、中学1年生から高校3年生35名の生徒が参加することになりました。「英語力を高めたい」「翻訳にチャレンジしてみたい」と考えた生徒が大半でしたが、教員は「翻訳する題材への深い理解を通して、社会課題に目を向けて欲しい」、「その課題解決に向けて考え行動するきっかけとなってほしい」という思いを強く持っていました。

グローバル探究部の先生方
グローバル探究部の先生方

◆ プロジェクトの立ち上げや実施状況、ICT ツールの活用などについてお聞かせください。

休校期間中に募集案内をし、実際にプロジェクトを立ち上げることになったので、ZOOM や Google Classroom を最大限に活用しました。翻訳作業は Google Drive を使って、生徒が自宅から都合のよいタイミングでできるものだったので、必要な連絡や説明は ZOOM や Classroom で、翻訳作業は Google スプレッドシートでといった具合に進めていきました。

生徒も教員もオンラインでの学習にはまだ不慣れな状況もありましたが、Asuka Academy の事務局が、オンラインで翻訳作業の進め方について具体的に説明してくださったので、安心して取り組めました。また、生徒がどのように翻訳すればよいか、色々な質問が出てきたときには、ZOOM で「翻訳講座」を開いてくださり、生徒に直接ご指導くださいました。このようなご支援のおかげで、無事にやり遂げることができました。

仲間がいるからこそやりとげられた

◆ 生徒のみなさまの取り組み状況はいかがでしたでしょうか?

実際の取り組み方は、正直なところ生徒によってさまざまです。本校では、学校で時間を拘束して翻訳作業に取り組むことはありません。実際の作業時間やペースも生徒それぞれが考えて取り組みます。教員は、Google Drive 上のファイルを開けて状況を確認するだけです。グループで協働し、何度も何度も言葉を練り直して翻訳を完成させた作業ファイルのメモ欄には、生徒同士の相談やアドバイスがいっぱいになっています。一方で、何もメモがなかったり、自分たちの決めた締め切り直前に作業を開始するグループもあります。

一ヵ月に一度の頻度で行うミーティングでは「翻訳はただの日本語訳とは違う」、「みんなの完成した日本語字幕付き動画を視聴する人がいる」「この完成動画が誰かの役に立つことになるんだ」ということを伝えています。インターネットを利用すれば簡単に翻訳ができる現代だからこそ、元の動画をみて、内容を調べて、その上でどのような日本語で視聴者に伝えればよいか、言葉を紡ぎだして欲しいと思っています。

翻訳ミーティングの様子
翻訳ミーティングの様子

「英語力を伸ばしたい」「英語を使ってなにかしたい」と考えて参加した生徒も、実際の作業を体験すると、「英語はなんとなくわかるけど、どう日本語にすればいいかわからない」、「直訳に近い表現にすると、言葉が長すぎて字幕が読み切れない」、「この日本語すごく不自然」といったように日本語の表現の仕方でたくさん迷います。

また、題材に関する背景知識の欠如によって、英文の理解も翻訳作業も進まないこともあり、世界の課題に目を向ける大切さも痛感しているようです。それでも何とかやり遂げられるのは、アイデアを出し合える仲間がいるからだと思います。

生徒それぞれに、さまざまな学習効果

◆ 実際にプロジェクトに関わることで、生徒のみなさまにどのような変化や学習効果がありましたでしょうか?

休校期間中にスタートしたこの翻訳ボランティアは、現在のところ第3弾まで実施し、全部で30の日本語訳付き学習動画を完成することができました。現在第4弾のボランティアを募集中ですが、リピーターになっている生徒も複数います。このボランティアのやりがいや面白さを感じてくれているのだと思います。

学習効果が表れるスピードやその表れ方は、本当に生徒それぞれなのではないかと思います。普段の英語授業に対してより真剣に取り組むようになった生徒もいるでしょうし、家族や友人と社会課題についてより話をするようになった生徒もいると思います。また、題材について、もっと深く追究したいという思いで、今後の進路を考える生徒もいるようです。

今年度は、翻訳を終えた生徒にレポートを書いてもらっています。ボランティアに取り組もうと思った動機も、翻訳作業を通して学び取ったことも生徒によって違いますが、みんな何らかの学びを確実に得ていることがわかります。

◆ 貴重なお話をありがとうございました!

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翻訳ボランティア募集について

Asuka Academy で公開していく講座について、英語から日本語への翻訳をしてくださるボランティアの方々を広く募集しています。

作業は無理のないボリュームで分担し、複数の人で確認を重ね、専門家の方にも最終チェックいただきます。英語のスクリプト台本がありますので、リスニングに自信のない方でもだいじょうぶです。

世界最先端の学びを、あなたの翻訳で日本に紹介してみませんか? ぜひたくさんの方にご参加頂きたいと思います。ご興味のある方はお気軽に「お問い合わせ」フォームからお問い合わせください。
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